再生資源物の屋外保管に関する条例(スクラップヤード条例)

再生資源物の屋外保管に関する条例とは、廃棄物や金属資源の処理や保管を行う施設に関する規制を定めた条例です。この条例は、環境保全や地域住民の安全・安心を目的として制定されています。多くの場合、自治体ごとに異なる規制が設けられており、条例の内容や要件は地域によって異なります。
再生資源物の屋外保管に関する条例とスクラップヤード条例
再生資源物の屋外保管に関する条例は、一般的にスクラップヤード条例と呼ばれることもあります。これは、使用済み製品や材料を屋外で保管する事業者に対して、一定の規制を設けることを目的とした条例です。
再生資源物とは?
使用を終了し、再生資源として収集された木材・ゴム・金属・ガラス・コンクリート・陶磁器・プラスチックその他これらに類する材質を原材料とするもの(分解、破砕、圧縮等の処理がされたものを含む。)及びこれらの混合物をいう。
ただし、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和 45 年法律第 137 号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する廃棄物(使用済自動車の再資源化等に関する法律(平成 14 年法律第 87 号)第 121条の規定により当該廃棄物とみなすものを含む。)及び第 17 条の 2 第 1 項に規定する有害使用済機器に該当するものその他適正な保管ができるものが取り扱うものとして町長が規則で定めるものを除く。
再生資源の定義は自治体によって異なりますが、金属スクラップ(鉄筋、銅線、配電盤、モーター等)や廃プラスチック製品(水道メーター、廃家電等)となっており、これらを屋外で保管しているヤードについては「囲い・掲示板の設置、排水溝の整備、不浸透素材による底面舗装等」ルールに則した整備を行った上での届出をして営業するように求めています。
なぜ「スクラップヤード条例」と呼ばれるのか?
- 歴史的な経緯: 最初にこのような条例が制定された際、主な対象が金属スクラップなどの「スクラップ」だったため、この名称が定着しました。
- イメージのしやすさ: 「スクラップヤード」という言葉は、一般的に使用済み製品が積み上げられている場所のイメージを想起させやすく、条例の目的を簡潔に表すことができます。
スクラップヤード条例の具体的な内容
条例で定められている主な規制
- 許可・届出: 再生資源物の屋外保管事業を行うためには、原則として、都道府県市町村への許可または届出が必要となります。
- 保管場所の制限: 保管場所の周囲には、住宅地や学校などとの間に一定の距離を確保するなど、周辺環境への影響を最小限にするための規制が設けられています。
- 保管方法: 再生資源物を積み上げる際の高さや、飛散防止のための措置など、保管方法に関する規制が定められています。
- 排水対策: 雨水や汚染水が周辺環境に流出しないための対策が義務付けられています。
- 騒音・振動対策: 騒音や振動による周辺住民への迷惑を防止するための対策が求められます。

※千葉県の手引きより抜粋
なぜこのような規制が必要なのか?
- 環境汚染の防止: 不適切な保管は、周辺環境への汚染や、火災などの事故につながる可能性があります。
- 景観の保全: 無秩序な保管は、地域の景観を損ね、生活環境の質を低下させる原因となります。
- 騒音・振動問題: 騒音や振動は、周辺住民の生活に大きな影響を与えます。
条例制定の背景
近年、リサイクル意識の高まりとともに、再生資源の回収・処理を行う事業者が増加しています。しかし、一方で、不法投棄や環境汚染などの問題も発生しています。このような状況を改善するために、多くの自治体でスクラップヤード条例が制定されています。
違反した場合の罰則
スクラップヤード条例に違反した場合、以下のような罰則が科されることがあります。
- 行政指導や改善命令: 違反が確認された場合、自治体から改善命令が出されることがあります。
- 罰金や営業停止: 悪質な違反があった場合、罰金や営業停止処分が科されることもあります。
- 刑事罰: 違法な廃棄物処理や無許可営業に対しては、刑事罰が科されるケースもあります。
自治体によるスクラップヤード規制条例の例
施行日 | 自治体 | 名称 | 対象事業・許可・届出など | 無許可・許可後の義務を怠った場合の主な内容 | 参考のページ |
---|---|---|---|---|---|
令和6年4月1日 | 千葉県 | 千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例 (通称:金属スクラップヤード等規制条例) | 【許可制】 ・特定再生資源の保管をする事業であること ・屋外において保管をすること →容易に移動できる仮設物や、柱だけある様なところも屋外 ・特定再生資源を積み上げる作業の用に供することができる機械(重機・フォークリフト・クレーンなど)を使用して保管をすること | ・無許可事業 ・許可に係る事項の無許可での変更 ・不正な許可取得 ・命令違反 ・保管方法の変更命令等 ・措置命令 ・事業停止命令 ⇒1年以下の懲役 又は 100万円以下の罰金 | 千葉県のページへ |
令和6年4月1日 | 茨城県 | 茨城県再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例 | 【許可制】 ・敷地面積が 100 ㎡を超える屋外保管事業場の設置について、事業場ごとに知事の許可(5年更新)取得を義務付ける。 ・許可申請事業者に対し、事業内容等の周知を図るため、事前に住民説明会の開催を求める。 ・施行日時点で既に屋外保管事業場を設置している者が、6ヶ月以内に届出を行った場合、許可を受けたものとみなす。 | 【行政処分】 ・事業者等からの報告徴収、事業場等への立入検査 ・保管基準不適合や違反行為に対する改善勧告 ・勧告に従わない場合には改善命令 ・事業場の全部又は一部の使用停止、許可の取消し 【罰則(主なもの)】 2年以下の懲役又は100 万円以下の罰金 ・屋外保管事業場の無許可設置 ・屋外保管事業者の命令違反等 | 茨城県のページへ |
令和6年7月1日 | 山梨県 | 山梨県再生資源物の不適正保管等の防止及び産業廃棄物の適正管理の促進に関する条例 | 【届出制】 ・保管場所の面積が300平方メートル以上である場所において、特定処理物の保管を行う者 (対象外) 畜産業を営む者が保管を行う場合 廃棄物処理法の処分業の許可を受けた事業場内で保管を行う場合など | 実効性確保の手段として、次のものを規定しています。 報告徴収及び立入検査 改善命令、措置命令、搬入停止命令 罰則(届出義務違反、報告徴収・立入検査拒否等、命令違反)、両罰規定 | 山梨県のページへ |
令和7年1月1日 | 埼玉県 | 埼玉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例 | 【許可制】 ※施行の際、現に屋外保管業を行っている場合には令和7年6月30日までに埼玉県知事に届出 | ・不正の手段により許可を受けた者 ・他人に特定再生資源屋外保管業を行わせた者 ・命令に違反した者 【罰則(主なもの)】 一年以下の懲役又は百万円以下の罰金 | 埼玉県のページへ |
事業者が注意すべきポイント
- 条例内容の確認
- 自治体ごとに条例が異なるため、事業を行う地域の条例をしっかり確認しましょう。
- 適切な許可取得
- 許可が必要な場合は、事前に必要書類を準備し、適切な手続きを行うことが重要です。
- 日常的な管理の徹底
- 環境保全や安全管理の観点から、定期的な点検や管理体制の見直しを行いましょう。
まとめ
再生資源物の屋外保管に関する条例(スクラップヤード条例)は、地域の環境や住民の生活を守るために重要な役割を果たしています。事業者としては、条例を遵守し、適正な事業運営を行うことが求められます。そして地域の条例内容をしっかり理解し、必要な手続きや管理を徹底することで、地域社会との共存を図りましょう。
この条例は、自治体によって施行時期や内容が異なります。事業を行う際は、必ず最新の条例を確認し、法令を遵守するようにしましょう。
近畿・関西圏のスクラップヤード条例の申請はお任せ下さい
行政書士伊藤巧真事務所では、西日本へ再生資源物の屋外保管に関する条例(スクラップヤード条例)が制定された場合に、いち早く対応できる準備をしております。
他県では「公布から届出の期限まで1年しかない」などとても短い期間を設定されていることもあり、事業をやめざるを得ない状況も予想されます。
大阪府・京都府・兵庫県・奈良県・和歌山県・三重県あたりまでは対応エリアとする予定をしております。
お気軽にご相談ください。

代表直通:080-9473-5055